概要 |
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目的
障がいを持った子ども達とハワイの野生のイルカとの出会いを通じて彼らの精神面におけるステップアップを目指す。また、食事療法、両親との時間の共有、自然、スタッフとの出会いなどの要素も重要な要素であり、同時に実践していく。
いつも子どもと一緒に毎日頑張っているご両親がリラックスした状態で、子どもの可能性を再発見できる機会と場を提供する。
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日時
2008.3.12〜18 5泊7日
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参加者
江川さん(仮名)ファミリー:両親、兄、妹(ダウン症)
加藤さん(仮名)ファミリー:母親、兄、弟(自閉症)
渡瀬さん(仮名)ファミリー:父親、長女(自閉症)
スタッフ:大原 ほか3名
計13名
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協賛企業 |
助成金提供: インテグリス社・社会貢献プログラム
助成支援: Give2Asia
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事前準備 |
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参加家族との打ち合わせ
全家族が揃う事ができなかった為、各家庭に個別訪問しての打ち合わせとなりました。
日程、食事、当日までに子ども達にトレーニングしておくべき事、機内で必要な用具、また、子ども達の特性などについて入念に相談をしました。
出発前日まで懸念事項についてはメールや電話にて相談を行いました。
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食事のメニュー作成及び買出し
今回は自炊がメインなので、ハワイで入手困難と思われる食材は日本から持参しました。
和食中心で肉、乳製品を除いた食事にすることがメインテーマです。
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機内及びハワイのホテルにて使用する教材、玩具の準備
自閉症の子ども達には自由でいたい願望があるため、機内で大人しくしていられるかどうかが
大きな不安要素でした。そのため、それぞれの子ども達が集中して遊べる玩具を用意しました。
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3月12日(出発日) |
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成田空港に19時集合
JALウェイズ 075便にて 21時30分発
初めての海外旅行です。
長時間の飛行時間の為、ご両親はかなり緊張していらっしゃいました。
飛行機に搭乗するまでの時間も長く、混みあっていて、子ども達な様子でした。
機内では機内食を食べてから、絵本を見たり抱っこされたりなど、少し遊んでから眠りました。
空港で遊んだせいか、予想以上に早い就寝になりました。
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ハワイ オアフ島ホノルル空港に到着。
到着後、ワイキキ・サンセット・ホテルへ。
ホテルにて昼食 時差ボケもあるのでさっぱりとソーメンを食べました。
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じっくり旅の疲れを取れるように昼食後はフリータイムにしました。
子ども達のペースに合わせて軽いお散歩、お昼寝をしました。
夕食時は1人が発熱をした為、1家族は別室にて、他の家族はスタッフと一緒に食事を取りました。
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3月13日(自由行動) |
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旅行の疲れと時差のためフリータイムにしました。
子ども達は朝食の時間に起きることがとても大変そうでした。
16時頃
ワイキキの海で少し泳ぎ、子ども達の様子や健康状態をチェックしました。
日本では、海を恐がった子も、ワイキキビーチでは元気に遊んでいました。
陽が沈み始めても、もっともっと海で遊んでいたかった様子の子ども達。
明日のイルカツアーが楽しみです。
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3月14日(イルカセラピー1日目) |
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朝食におにぎりをしっかり食べてイルカセラピーへ出発です。
9時30分 ホテル出発
マイクロバスでハーバーに向かいます。
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10時30分 ハーバーから出航
乗船して、注意事項の説明を受け、ハワイの素晴らしい景色に見とれていると
すぐにイルカと遭遇しました。
シュノーケルなどを装着して、海に入ります。
海に入れない子は船の上から、たくさんのイルカを見ました。
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15時 ホテル着
夕食後 翌日の確認
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3月15日(イルカセラピー2日目) |
9時30分 ホテル出発
10時30分 ハーバーから出航
この日、イルカたちの状態が昨日とは違った為、子ども達は船の上からイルカを見ることになりました。ご両親は船の階段を降りた所から、水中のイルカを見る事が出来ました。
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イルカだけでなく、ウミカメ、チョウチョウウオなど様々な生き物を見ることができました。
また、壮大な景色を見ながら船の上で子ども達はとてもリラックスしていました。
下船後は迎えの車が来るまで、フラダンスのレッスンや広い公園で遊びながら過ごしました。
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15時 ホテル着
夕食後 翌日の確認
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3月16日(自由行動) |
朝食後、フリータイムにしました。
お土産を買いに行くご家族と、シーライフパークに行くご家族に分かれました。
普段は常に子どもを見ていないといけないので、日本では買い物を堪能できないお母さん方も「まさかショッピングやお土産選びができるなんて!」と、とても喜んでいました。
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夕食後 翌日の確認
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3月17,18日(帰国日) |
3月17日 朝食後チェックアウトして空港へ向かいます。
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3月18日 羽田空港到着後解散
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反省等 |
食材
日本食の材料が現地でどの程度手に入るかが、少々不安でした。
必要とするものはほとんど手に入ることが分かりました。
そのため、こちらからは無添加のだし醤油程度を持っていけば良いようです。
一つの部屋に集まっての食事なので、スタッフと家族は近くの部屋を取った方が良いです。
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飛行機について
成田〜ホノルル行きの飛行機の座席指定が大変でした。
子ども達が椅子に立ち上がったリ、前の座席を叩いたりする事があるので
子ども達の前後の座席は、スタッフ席として確実に取る事が必要です。
その為に、障がい者手帳の番号を提示すると、優先的に席を取ることが可能です。
飛行機に乗る前は、子ども達の食事を済ませ、飛行場を歩かせるようにしましょう。
そうする事によって、搭乗するとすぐに疲れて就寝できます。
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スタッフ関連
全てのスタッフが一緒にハワイに着きましたが、スムーズにツアーをこなす為には食事のスタッフはあらかじめ数日前にハワイ入りをして買出しを済ませておくことが必要です。
写真撮影が思うように進まないので、写真撮影専門のスタッフが居ると良いです。
その場合、現地にお住まいの方にお願いできると尚更。
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子ども達の様子・イルカセラピーの成果
子ども達の言葉や行動に明確な変化がありました。
帰国後、2ヶ月経ちましたが、ステップアップは継続中です。
詳細はそれぞれの親御さんからの手紙を参照して下さい。
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参加した親御さんからの手紙(一部抜粋) |
江川さん
(前略)
いよいよ念願のハワイの旅が始まり向こうへ到着するととても大喜びでコンドミニアムの広い
お部屋の中をお兄ちゃんと一緒に駆け回ったり、浜辺では今までは海にこわがって海の水に足がつかると苦手そうに足をひっこめていた娘でしたが、なんと自分から海へ入り、生まれて初めて体いっぱいに感じる大きな海に大興奮して、今まで見た事もないようなはしゃぎっぷりでした。
翌日のイルカツアーでは現地のイルカに詳しいスタッフが子供達や親の私たち全員に元気いっぱいにフラやダンス、歌でもてなし下さいました。
そして最高のスタッフにより「野生のイルカとの遭遇」という私達の夢がついに叶いました!!
まずイルカを見つけたとき、娘を抱いて指を示して「イルカだよ!イルカ!」と手真似をして一生懸命「イルカ」とアピールして、しっかり「イルカ」を認識する事が出来ました。イルカに遭遇した興奮と喜びを娘と一緒に分かち合えて本当に感動しました。
(中略)
この日、イルカツアーの後、ホテルに帰り、荷物を整えなおして出かけようとした時の事です。
娘を運ぶ為の背負いカゴの中に入って、大きくハッキリとした声で突然「パパー!!パパーッ!!パパーッ!!パパー!!」と何度も何度も私達に手まねきして叫んだのです。
まるで「私をここに乗せて早くパパ、どこかに連れて行って!!」と言っている様で。
こんなにハッキリとした発語で「パパ」と言い、自分の意思を要求した事は生まれて初めてで、思わず嬉しくて主人も私も涙がとまりませんでした。ハワイに来てイルカツアーに参加させていただいた事でハッキリと娘の中で変化がありました。
アニーのスタッフの方々よりいただいた毎食の和食・野菜中心の美味しい食事が体にも心にも優しくありがたかったです。
(中略)
支えて下さるこれ以上ないスタッフの方の溢れる愛情に勇気と元気と胸いっぱいの感動をいただきました。本当にこの旅を企画して下さった全ての方々に深く感謝申し上げます。ありがとうございました!!
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加藤さん
(前略)
いま、何とお礼を言えば良いのか分からないくらい感謝しております。正直言って、障害を持つ我が子との海外旅行は考えた事も無ければ、一生不可能だと思っていました。
これまでもリスクばかりを考えて一歩前へ踏み出せないでいた事が沢山あった私たち親子。
今回のハワイ行きに関しても迷いはありました。
けれどもアニーこども福祉協会の大原代表の熱意と息子に対する思いを聞くにつれ、「行きたい!」と強く思うようになりました。
突然参加できた事で、私たち親子の一生を左右するような経験ができたように思います。
行けるはずがないと思い込んでいた場所へ行き、できるはずがないと決めつけていた体験をし、それがとても楽しくて、素晴らしくて、もっともっと息子といろんな所へ行きたい!いろんな経験をさせてあげたい!と思うようになりました。
帰国後の息子は少しだけ発語が増えて、よく笑うようになりました。本人の意思も強く感じられるようになり、会話は無くとも何を考えているかが分かりやすくなりました。
今はこれから息子がどんな風に成長していくかがとても楽しみです。
ハワイの大自然の中でイルカとの出逢い、ツアーに一緒に参加されたファミリーとの出逢い、アニーこども福祉協会のスタッフの方々との出逢い、全ての出逢いが私たち親子の宝物となりました。
そしてそんな出逢いを与えて下さった皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
いつか息子と会話が出来るようになった時、ハワイでのこと、皆様のことを話してあげたいと思います。
本当に本当にありがとうございました。
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渡瀬さん |
うちの子どもは、8歳の重度の広汎性発達障害で、いくつかの単語を除いて ほとんど言葉がしゃべれません。 でも、今年3月以降は 「ハワイ行きたい。イルカと遊ぶ!」
と、一生懸命、はなしをするようになりました。 子どもとハワイに行くことができたなんて、今でも、信じられません。
自分で撮ったビデオを編集してDVDにしましたが、 それを時々見て、「ああ、あれは本当のことだったんだ」と実感しています。 それだけ、広汎性発達障害(自閉症)の子どもと、海外に行くなんていうことが
、 あり得ないことなんです。
自閉症児の6割が言葉が話せません。単に話せないだけでなく、 ボディランゲージを含めたコミュニケーション能力自体をもともと持たないので 、 意思疎通をはかることが大変困難なのです。
もし、今回のような機会をいただけなければ、一生、子どもと海外旅行すること はなかったと思います。 しかも、都市観光ではなく、マリンアクティビティなんて、想像すらできませんでした。
わたしたちは、父親と子どもの2人で参加いたしました。 用意いただいたコンドミニアムで、約1週間を過ごしました。 脱走癖のある知的障害の少女と2人で見知らぬ土地で過ごすということのプレッ シャーはたいへん大きく、わたしは本当に緊張していました。 どれほど、つらく、きつい旅になるだろうか? そればかり考えていました。
しかし、現実は、まったくわたしの想像を超えていました。 まったく、たいへんでなく、むしろ、楽だったのです! まず、スタッフのみなさまが、食事の世話をパーフェクトにしてくれたことや、
陰に日向にフォローしてくれたことが、圧倒的に楽でした。 そして、子ども自身が、とても「いい子」にしていてくれたのです。 いや、「いい子」だったことをわたし自身が再発見した、という言い方が
もっとも正しいでしょう。
子どもと2人だけで過ごす時間は、「きつくてたいへん」どころか、「楽しく気 持ちのいい」時間だったのです! わたしは、それまでも、子どもの世話を完璧にこなしている自信は、ありました
。 でも、日常生活で世話にあけくれて、子どものかわいさをいつしか忘れていたの かもしれません。 ハワイで2人で何日間も過ごし、目を離さず密に子どもと接することで、わたし
は、 「自分の子どもは、こんなにかわいかったんだ!」 ということを、あらためて発見できたのです。
そして、それ以来、子どもと2人で過ごすことが「たいへんなこと」ではなく、 「楽しいこと」に変わり、子どもがもっともっと好きになりました。 閉症の子どもは、楽しみがほとんどありません。
遊びのスキルがないので、何かを楽しむということが、とても難しいのです。 そんな、子どもが、どれだけ楽しんだか。 今回日本で留守番していた妻も、まったく信じませんでした。
しかし、編集したハワイでのDVDを見せたとたん、本当にびっくり仰天していまし た。 そこには、ビーチで、ヨットの上で、食卓で、そのほかいろんなシーンで、
これまで見たこともないほど、大喜びで楽しんでいる子どもの姿が、映っていたからです。 ヨットの上で、たくさんのイルカを見ながら、どれほど子どもが喜んでいたか、
機会があれば、その笑顔や歓声を、ぜひDVDで見ていただきたいです。
(中略)
この旅は、子どものためだと思っていたけれど、 自分(親)のためだったんだ、と。 このような心と体が生まれ変わるような、素晴らしい機会を、わたしたち家族に
与えていただいて、本当にありがとうございました。
今日も、子どもは 「ハワイ行きたい。イルカと遊ぶ!」 と、ニコニコしてます!
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2008.05 特定非営利活動法人アニーこども福祉協会 |